社会保険労務士は人気資格で転職就職にも有利です。


難関の社会保険労務士資格。
当然就職・転職への効果も抜群です。


労働問題の多様化から企業でも人事労務のプロを
確保したいと考える企業が増加中。


各種資格取得スクールや通信講座等ではかなり「景気の良い」種類の広告を目にした方も多いと思います。必ずしも「独立・開業」を目指しているわけではないものの、


「自分の専門分野を創り磨いていきたい」


と考える多くの方にとって魅力的な言葉ですね。しかし、本当に「社会保険労務士」の資格を取得すれば就職先は豊富で選り取り見取りの転職活動が可能なのでしょうか?いや、そもそも本当に社会保険労務士の求人・就職先は豊富なのでしょうか・・・?あまり求人サイトでは見た事がなかったのですが・・・?


社会保険労務士の求人就職先は沢山ある?

社会保険労務士の求人があるかないか。議論をするよりも一番早いのは実際に調べてみる事ですね。社会保険労務士に限らずターゲットが限定されるような資格系のお仕事はあまり大手転職サイトには掲載されません。元々の募集が一般企業に比較して少ないというものありますし、そもそも対象者も限られています。
(何千万PVを集めてもターゲットはそもそも4万人程度と少ない)



そんな時に頼りになるのが社会保険労務士ならその仕事柄よく行くことになる「公共職業安定所」の情報が網羅されている「ハロワーク求人検索」。こちらを利用して社会保険労務士のお仕事を検索をしてみました。検索条件は下記の通り。

  • 求人情報の種類:一般
  • 就業場所の都道府県:全国
  • 雇用形態:正社員
  • フリーワード:社会保険労務士(類義語検索無し)

※検索時2016年12月 

全国で約750件の求人がヒットしました。以前も触れた通りフリーワード検索の場合は「ノイズ」も拾ってきてしまいます。「ノイズ情報がないように社会保険労務士資格が必要な募集で検索すれば?」といったご意見を頂いた事があるのですが、その場合は限定され過ぎてしまうんですね。例えば「社会保険労務士があれば尚可」といった募集は対象から外れてしまいます。



750件の中で明らかに社会保険労務士関連の募集ではない求人を除外したところ結果は520件求人がありました。これを多いか少ないかは判断が難しいところですが「資格を求めている限定性が高い求人」にしては数はあるのではないでしょうか。ただ、社会保険労務士の年収・収入は?の記事でも触れましたがその収入には幅がありそうですね。

社会保険労務士求人就職先は地方にもある?

上記で検索を行った結果は下記の通りです。



※2016年12月


やはり社会保険労務士の求人数に関しても大都市圏に集中していますね。


  • 東京:求人数116件(22%)
  • 大阪:求人数 60件(12%)
  • 愛知:求人数 44件( 8%)


東名阪の中心で約42%を占めています。この辺りは一般のお仕事と同じく「人」と「会社」が集まるところに仕事はあるという事ではないでしょうか。ただ、大都市圏はそれだけ「競争」も激しいという事になると思います。一方で地方は競合する社会保険労務士も少ないので色々なお仕事を任せてもらいやすいというメリットもあると思います。



もし、ご自身の出身が東名阪以外(あるいはその周辺都市)など地方にある場合には大都市圏で社労士法人等に勤めて研鑽を重ねて地方で開業するというのも一つのキャリアプランかもしれませんね。ただ、地方で開業するに当たっては必須のスキルがもう一つ。僕自身、会社員としては東京から始まり、千葉、愛知、岐阜と営業してきたのですが地方では車が必須です。公共交通機関ではおそらく仕事にならないでしょう・・・。車の運転に慣れていない方はもう一度ハンドルを握りなおす必要がありそうですね。



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社会保険労務士の求人就職先は未経験でもある?

晴れて社会保険労務士の資格を取得しても多くの方は社会保険労務士業務に関しては「未経験」だと思います。未経験でも求人就職先はあるのでしょうか?結論から申し上げますと「社会保険労務士業務」に関して未経験であっても求人はありそうです。東京の社会保険労務士の求人に関して調査(2016年12月)をしてみたのですが半数程度が「未経験でも可」となっておりました。



しかし、「未経験」の場合は当然給与は低くなります。また、未経験者の場合に関しては「年齢」に上限を定めているケースも多いですね。ただ、昔のイメージですと

「未経験者30歳転職限界」
「経験者35歳転職限界」



などと言われていましたがそこまで低くはないようです。



僕が調べた際に東京の社会保険労務士募集で「年齢下限」を明確に設けているのは20件ほどだったのですが「30歳未満」を求めているのはその中で2件でした。概ね35歳程度が多く「40代中半」を上限として定めている募集もありました。勿論、年齢に関しても記載がなくても実際の採用にあたっては「年齢」も考慮されていると思います。ただ、僕達のような団塊ジュニア世代であっても「年齢だけで足キリ」といった事はなさそうな感じですね。



管理人の経験から・・・転職エージェントは使うべき?

個人的な経験ですと「実務未経験(ASP等の営業経験のみ)」「37歳」で15社ほど応募しましたが4社は「面接」までは辿り着く事ができました。勿論タイミングもあるとは思うのですが、当時50社位送って1社かな・・・と、かなり悲壮な決意を持って挑んだため、書類が想像よりも通るので驚いた記憶があります。ただ、後に上記のように調べてみるとアラフォー、さらに、40手前であれば実務未経験であっても機会は充分にありそうな事を知り得心した次第です。



ただ、「待ち」の姿勢だと正直かなり厳しいのではないかなと思います。僕自身も利用をした事があるのですが「大手転職エージェント」に登録して紹介を待っていたり、転職サイトの「スカウトメール待ち」みたいな姿勢は避けた方がよいと思います。正直、全く畑が違う会社からのオファーや紹介しかないので逆に「自分は資格取得してもダメなの・・・?」とマイナス思考に陥ってしまいます。



自分が魅力を感じた会社に対して「ダメで元々!」「会えばなんとかなる!」実務経験はないが今迄の経験で「自分もこの会社に貢献できる!」という気持ちで行きましょう。アラフォー世代は「攻め」ですね。

社会保険労務士の求人就職先が社労士事務所

社会保険労務士に合格した先の就職先としては王道の就職先ですね。「自分は実務経験がないから」と考える方や「未経験でもOK就職先の給与では生活できない」と二の足を踏む方も多いと思います。求人を見ていると悩む事もあると思うのですが、一口に「社会保険労務士事務所」「社労士法人」への就職といっても求めれれているものがかなり異なります。社会保険労務士の資格取得を考える方はある程度社会人経験が豊富な方が多いと思いますので今までの経験も十分に活かせる可能性があります。

社会保険労務士の求人就職で「人事総務経験」を活かす

求人募集を行っている社会保険労務士事務所はそこそこ大きな事務所だと考えられます。1人で切盛りしている事務所も非常に多いですからね。その場合求めているスキルは必ずしもオールラウンドに社労士業務を行って欲しいとは限りません。



募集内容をよく見ると求めるスキルに経験は「給与計算」や「社会保険手続き」等で、社労士の資格については「歓迎」としている募集もあります。まずは、自分自身が提供できる「人事総務経験」を活かして就職先で役に立ち、将来的には自分自身のスキルの幅を広げていくという方法も十分に考えられますね。

社会保険労務士の求人就職で「営業経験」を活かす

前出の「人事総務経験を活かす」のと同じように「営業経験」も十分に活かす事が出来る可能性があります。募集の内容で「営業経験者歓迎」や「助成金の提案」などの記載があれば営業経験活かすチャンスもあると思います。社会保険労務士が10人以上在籍し大都市圏に複数事務所を展開しているような準大手・大手クラスの社労士法人ですと「営業職」単体での募集をしている場合もあります。



そういった「営業職」単体での募集の場合収入が一般的な募集よりも収入が高い(あるいは成果報酬が高い)傾向があるようですね。社会保険労務士という仕事柄やはり合格する方の多くは「人事総務系」の職種で活躍してきた方が多いので、営業経験は貴重とも言えます。(というかそういう気持ちで頑張る!)

社会保険労務士の求人就職で「熱い想い」を活かす

試験は通ったけど、自分は総務人事の経験はないし、営業経験もない。あるいは今迄は非正規で正社員の経験もなく事務系の仕事すらほぼ未経験。

実務経験は不問、必須なのは「社労士資格のみ」。実は、ハローワークで求人を眺めていると意外な求人を発見する事があります。「後継者候補」「次期所長」の募集です。社会保険労務士制度が始まってもう半世紀近くが経過しています。(社会保険労務士法の制定は1968年)そろそろ大切な顧問先を信頼できる後継者に引き継ぎたいと考えている方も増えてきているようです。



自分の一部ともいってもよい事務所を引き継ぐにあたっては「経験」や「知識」よりも自分の顧問先を今後も大事にしてくれるか?といった事の方がきっと気になると思います。そして一緒に仕事をしていくにあたってお互いに気持ちよく仕事が出来るか?といった「経験」や「知識」とは異なる部分がきっとはるかに重要になってきます。



知識や経験は学べば進歩できますが、人間性(良し悪しではなく合う合わないといった部分)は中々変わりませんからね。もし、「この人が師匠!」という人に出会えれば、お互いに人生の転機となるかもしれません。

社会保険労務士の求人就職先に一般企業を選択

一般企業であっても社会保険労務士の資格が活かせる募集もあります。「社会保険労務士の仕事とは?」でも触れましたが社会保険労務士のうち15,000人程の方が一般的企業で「勤務社労士」として活動しています。「人事・総務関係」の担当者や管理職の募集や人事労務系のコンサルティング会社(社労士法人・事務所が併設の場合もありますね)等が多いですね。また、変わったところでは「公益法人」での募集や「健康保険組合」等の求人もあります。



ただ、一般企業の場合は社労士事務所(社労士法人)と比較するとやや資格に対しての温度差はあるようですね。「社会保険労務士」と名乗るには試験に合格するだけではダメで、免許を登録して各都道府県社労士会に所属しなければならないのですが、「社会保険労務士資格歓迎」とあっても免許登録や各社労士会の会費に関しては自己負担(あるいは一部負担や勤続年数により負担など)の場合もあるようです。
(社労士事務所でも会費等は折半という場合もあります)



また、社労士は必須の研修があり必ず参加をしなければいけないのですが、その研修へ「会社の業務範囲内」として参加が可能企業もある一方で、有給を使って参加しなければならない企業もあります。傾向としては金額が安くても資格手当としていくばくかの手当が付く会社に関しては、概ね各登録費用等は会社経費として認められて、必須研修だけでなく社労士会が開催する各種研修・勉強会への参加に関して、「会社の業務範囲内」として認めてくれている企業が多いようですね。

社会保険労務士の求人就職先に関するまとめ

以上考察してきましたが、


  • 社会保険労務士の求人はあるが大都市圏に集中している。
  • 実務未経験でも就職先はあるが年齢による上限がある場合もある。
  • 実務未経験者は「自分の強み」を活かせる就職先を攻める。
  • 待ちの姿勢では中々就職は難しい。
  • 資格手当がある会社は社労士への理解や期待値も大きい。


以上、「社会保険労務士に求人就職先はあるのか」に関しての考察でした。