あなたが社会保険労務士の資格取得を考えたり目指したりする理由はなんでしょうか?いわゆる「士業」を目指す方であれば自分の事務所を構える「独立」を(濃淡はあるかもしれませんが)考えるのではないかと思います。






勿論、その結果として「年収・収入アップ」も出来ればと考えていると思います。ネットで検索をすると魅力的な事も記載されていますね。実際、社会保険労務士の年収はいくらくらいなんでしょうか?

社会保険労務士の年収の前に日本の平均年収は



「日本の平均年収はおおよそ400万円位」


ニュース番組・マスコミの報道やネットニュースなんかでなんとなくイメージされている方も多いと思います。ただ、いったい何処でそういったデータをしらべているのでしょうか?折角なのでしっかりと調査してみました。平均年収を調べるには下記のような調査が参考になります。検索結果で出てくる「平均年収」はだいたい下記の統計と独自の解釈で構成されていますね。



  • 民間給与実態統計調査結果(国税庁)
  • 国民生活基礎調査(厚生労働省)
  • 賃金構造基本統計調査(厚生労働省)



余談ですが・・・・こちらは全て「基幹統計」となっています。「賃金構造基本統計調査」なんかは社会保険労務士試験の学習をした方ならお馴染みの名前かもしれませんね。「毎月勤労統計」と「賃金構造基本統計調査」はよく入れ替えて問題となったり選択式の穴埋問題にも出ます・・・懐かしい。話が脱線しました。では順に見ていきましょう。

日本の年収を民間給与実態統計調査で調べてみた

こちらのによれは平成27年度の平均年収は420万円となるそうです。ただ、これを見て「高い」「安い」というのは早計です。こちらは源泉徴収義務者がある民間の事業所に勤務している給与所得者 を対象としています。当然、パートアルバイトから上場企業の役員まで含んでいます。平成27年度の数字を拾っていきます。



平均年収
正 規
非正規
平 均
男女合算
485 171 420
男性のみ
539 226 521
女性のみ
367 147 276

※単位万円 参照:平成27年度民間給与統計調査



男女合算の平均年収は420万円ですが「男性」と「女性」では開きがありますね。また、「正規」「非正規」でもそれ以上に開きがあります。「男性・正規」で見てみると「539万円」と男女合算の全体平均よりも100万円以上高いですね。一方で「女性・非正規」で見てみると「147万円」となり男女合算した非正規の平均よりもさらに24万円程低い数字ですね。



また、この調査には「年齢」に関する統計はありません。いったいいくつ位の方が中心となっているのかが分からないと高い・低いの判断は難しいですね。ただ、ある程度の予測は可能です。日本の平均年齢がおおよそ40代中半と言われています。また、「給与所得」という事は「現役世代」と考えられるので、平均より若干若い位の年齢が近い40代前半位が近いのではないかと思われます。

日本の世帯年収を国民生活基礎調査で調べてみた

こちらの調査もざっと見てみましょう。「国民生活調査」によると下記の通りです。

  • 1世帯当たりの平均所得金額:541万円
  • 子供がいる世帯の平均所得:712万円

 ※参照:平成27年国民生活基礎調査の概況



子供がいるという事は夫婦で生活している可能性が高いと思いますが先ほどの「民間給与統計調査」の「男性正規」と「女性非正規」の組み合わせと比較してみると・・・


男 性
正規
女 性
非正規
合 計
538 147 685

※単位万円。前出の民間給与統計調査の「男性正規」「女性非正規」の合計を算出。



子供がいる世帯の平均所得と近い数字が出てきていると思います。男性が正社員として働き、女性が非正規として補っている体制が想像できると思いますね。平均所得に関しては「541万円」なのですが、この平均以下の割合が6割以上あります。つまり、「高い方」が全体平均を押上ているんですね。中央値(所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値)は 427 万円となります。


※中央値と平均値のイメージ

日本の年収を賃金構造基本統計調査から調べてみた

次に社会保険労務士試験でもお馴染みの「賃金構造基本統計調査」を見てみます。この統計は「年収」ではなく月の賃金と、1年間に支払われた年間賞与が出ています。予測年収は
「所定内給与12ヶ月分」と「年間賞与」の「合計」で出してみました。


平均年収
年 齢
勤 続
年 数
所定内
給与額
年 間
賞与額
予 測
年 収
男女合算
42.3 12.1 30.4 89.3 454.1
男性のみ
43.1 13.5 33.5 103.3 505.3
女性のみ
40.7 9.4 24.2 61.2 351.6

※単位:金額万円 他:年 参照:平成27年賃金構造基本統計調査



前出の「民間給与実態統計調査」よりも高い数値ですね。ただ、こちらの調査は「短時間勤務者」は含みません。参考までに短時間勤務者の平均年収は114万円になりました。

ニッポンの平均年収のまとめ

以上3つの指標を僕なりにまとめてみた日本の平均年収は・・・


  • 平均年収は勤続12年前後の40代前半で概ね400万円から450万円程度
  • 男性は勤続13年程度の40代前半で500万円程度
  • 女性は勤続10年弱の40歳位で年収350万円程度
  • 子供がいる夫婦世帯の世帯年収は700万円程度


といった感じでしょうか。一応各統計の結果と概ね整合性は取れていますね。ここまで元データに当たってみると「400万円位」というもの平均としては納得感があると思います。

社会保険労務士の平均年収は600万円位?



「社労士の年収が知りたかったんですが・・・?」




そんな声が聞こえてきそうですね。僕がここまで「日本の平均年収」に関して長々と考察をしてきたのには理由があります。既に検索をしたりした方も多いかもしれませんが、「社会保険労務士 年収」等と検索すると「600万円位」と出てくることが多いのです。参照元の記載がないサイトや「色々と独自に調査して」というものもあるのですが、概ね前出の「賃金構造基本統計調査 」を参照元にしているのが殆どですね。
(少し前には平均が740万円位と記載されているデータもありましたね。)
僕自身、仮に「平均年収600万円」であったとしても決して低い数字だと思っていませんし、雇用をされている会社員と異なり、元気働いていればずっと「収入」が入ってくるのは魅力だと考えていました。しかし、


社労士になって開業すれば平均位でも年収アップに繋がる


と考えるのは大きな誤解なんですね。
日本には約40,000人の社会保険労務士がいると言われています。
※厚生労働省発表:社会保険労務士登録者数は 40,426 人(平成28年9月30日現在)
その中で開業(法人社員含む)が25,000人位、勤務等が15,000人位になります。

「勤務等」というのは社労士資格を持ちながら「一般企業」に勤めている方です。
※参考:社会保険労務士の勤務登録とは?

「賃金構造基本統計調査」の概要を見てみると・・・

この調査は、統計法に基づく基幹統計「賃金構造基本統計」の作成を目的とする統計調査であり、主要産業に雇用される労働者について、その賃金の実態を労働者の雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数別等に明らかにするものである。

「主要産業に雇用される労働者」つまり、独立開業して事務所を切盛りしているをしている社会保険労務士はこの統計には反映されていないんですね。
(また、サンプル数に関しても390名と全体を推しはかるにはサンプル数が少ない気もします)
それでも他に統計的なデータはなさそうなので平成27年度のデータを確認してみます。


  • 勤続12年前後の45歳位の年齢で平均650万円程度


勤務中の方の平均年収は上記の通り。ただ、当サイトをご覧になっている方は「これから」社会保険労務士の受験をお考えの方が多いと思います。参考までに、「ハローワーク求人検索」を利用して「社会保険労務士」の仕事を検索して給与を調査してみました。検索キーワードは下記のような感じです。


  • 求人情報の種類:一般
  • 就業場所の都道府県:全国
  • 雇用形態:正社員
  • フリーワード:社会保険労務士(類義語検索無し)

※検索時2016年12月 


約750件程度ヒットした中から「社会保険労務士」関連の募集ではないノイズ(社会保険労務士が求人を代行している情報や税理士の募集等)を目視で除いた520件を調査しました。その結果は下記の通りです。

下限平均
上限平均
19.9 27.7

※単位万円 サンプル数520件 2016年12月結果



社会保険労務士事務所の募集ですと規模が小さい個人事務所よりも社労士法人の方がやや高く、社労士法人・社労士事務所よりも一般法人での募集の方が高かったです。

社会保険労務士開業後の平均年収は実際いくら?

上記で考察してきました通り独立開業をしている社会保険労務士の年収に関して統計的なデータはなさそうです。統計的なデータがないとなると直接見聞きした、あるいはマスコミや業界紙、ネット等での情報から考えるしかありません。僕が直接見聞きしたお話しも「開業初年度から700万円程度の売上」があったという方もいれば、「初年度は100万円程度だが3年目で500万円程度」といった方や「年金受給をしながらなので売上は100万円程度」と本当にバラバラです。こうなってくると身も蓋もない結論になってしまいますが平均年収というものを指標とするのは難しいようですね。



さて、「平均年収」を知りたいというのは多くの場合「仕事としてやっていけるのか?(食べていけるか)」という部分の参考にしたいからだと思います。参考になるか否か分かりませんが先ほどお伝えをした通り現在約40,000人(平成28年9月)がなんらかの形で社会保険労務士として登録をして決して安くはない会費を支払い活動をしています。
※参考までに平成20年の社会保険労務士登録数は33,144人(厚生労働省発表:平成20年9月)でした。



また、平成26年に社労士連合会が25,000社を対象にアンケート調査をした結果、解答をした企業の96%が社労士を認知しており、半数以上の企業が社労士を利用していると回答されています。ニーズはむしろこれから高まっていくのではないかなと思います。
※参照:社労士のニーズに関する企業向け調査結果について



勿論、「簡単」お客様が開拓できるお仕事ではないとは思いますが、まだまだ市場開拓の余地はあるのではないでしょうか。