社会保険労務士のお仕事の「将来性」は明るいのでしょうか?社会保険労務士も独立開業可能な所謂「士業」と言われるお仕事ではありますが、国家資格の中では最も「難関」と言われ「時間とお金」も必要と言われる司法試験を突破しなければならない弁護士でさえ昨今は昔と比べると事務所経営は楽ではないと言われています。







司法試験程の難関ではありませんが、社会保険労務士試験も簡単に合格が出来る試験ではありません。忙しい会社員が「時間」と「お金」を投資してまで取得する価値、将来性はあるのでしょうか??

社会保険労務士の将来性。独立開業の先は暗い?

これから資格を取得しようと考える方に冷や水を浴びせるようなので若干心苦しいのですが、正直、「社会保険労務士の仕事はこれからなくなる」こういったお話を聞く事は多いと思います。しかも、中々説得力があるような・・・




試験勉強が順調な時はいざ知らず、行き詰まりを感じている時にこんな話を見聞きすると余計な不安が募ってきて精神衛生上も良くありませんね。今回は社会保険労務士の将来性に関して考察してみました。最後までお付き合いを頂ければと思います。

社会保険労務士の将来性は暗い!独立開業しても手続き業務はなくなる?

社会保険労務士の中心的なお仕事は「社会保険労務士の仕事とは?」でも触れた通り、「労働社会保険書類」の作成や手続き代行になります。また、それに伴い「給与計算支払の代行」の受託をしている社労士事務所も多いですね。事業主には従業員を各種「労働社会保険」に加入させる手続きを行い、保険料を収める義務があります。



確かに労働社会保険の「手続き業務や書類作成」は「社労士の独占業務」になります。また、給与計算に関しても給与水準や保険料が変ったりする事で金額が変り猥雑なのは間違いありません。しかし、一方で当事者である事業主やその使用人が自ら書類作成や届出を行う事は可能ですし、給与計算も社内で処理できない事はありません。



昔であれば、「社会保険手続き」には雇用主や人事を担当する使用人がハローワークや年金事務へ出向く必要がありましたが現在は「電子申請」が可能ですね。給与計算に関しても「電卓を叩いていた」時代ならともかく、IT化が進んだ現在、素人でも簡単に扱えるフリーソフトも色々あります。自社でも吸収可能なことを外部の社会保険労務士事務所に依頼する必要性があるのでしょうか?

社会保険労務士の将来性は不安!独立開業は待て!ネットがあれば十分?

前述の通り社会保険労務士の主な仕事は労働社会保険の「書類作成や手続き代行」ですが、顧問となっている社会保険労務士に期待をするのは「従業員との労務問題」や「労災」が発生した時の対応等に関して相談相手に乗って欲しい、解決策を提示して欲しいというものもありますね。



また、毎年のように行われる法改正への対応(ここ数年だと「マイナンバー」や「ストレスチェック」法等)に関してもどうしたらよいのか、事業主や人事担当者にとって悩ましい問題です。労働・社会保険の諸法令の専門家である顧問社労士がいてくれれば頼もしいかもしれません。


ネット社会より前は


確かに「インターネットが一般に普及する前」であれば、法改正や社員とのトラブルや労災時の対応に関しての情報などを仕入れるには、各種セミナーに自ら出向くなど「時間と労力」が必要だったかもしれません。しかし、今や優秀な検索エンジンが法改正や各種労務問題の対応方法に関しても大抵の事は答えてくれます。




決して安くはない金額を顧問料として支払ってまで社会保険労務士を顧問として依頼する理由はあるのでしょうか。また、「労務問題でトラブル」の行きつく先は訴訟です。訴訟になったら「訴訟」の専門家である弁護士に依頼をすればよいのです。


如何でしょうか?


全くその通りだと思いませんか?
ITやネット、クラウドサービスを上手に活用して「ミニマム」な経営をして発展している企業も増えていますね。今の時代、調べればなんでも分かります。他にも他士業との競争もあり「士業」そのものがこれからは厳しいと言われてもいますね。合格率数パーセントの難解な国家試験を突破してまで手に入れる価値のある資格でしょうか?

社会保険労務士の将来性、今から始めて独立開業できる?

ちょっと個人的な昔話をさせて下さい。僕は会社員としては営業しか経験がありません。ただ、団塊ジュニア世代というのは社会人生活のスタートから「インターネットの黎明期」を経て「IT化」「クラウド化」の影響をモロに受けて来た世代だと思います。


  • 「SFA(営業支援システム)」
  • 「CRM(顧客管理ツール)」
  • 「GPS管理(位置情報管理)」
  • 「名刺管理システム」




次々と営業支援ツール、顧客管理システム、営業管理システムが導入されました。
僕自身も営業日報や見込管理や上司への提出書類が「手書きの紙管理(紙管理は僕の世代でも珍しかったですが・・・)」から「エクセル」そして「支援ツール」へと発展?していくのを体験してきました。



経営者は大好きなんですよね。そして、確かに説得力がある。


  • 「営業の時間を奪う営業日報や読み管理表入力時間からの解放」
  • 「営業の感覚に頼っていた見込管理をリアルタイムで可視化」
  • 「スマートフォンからの閲覧・入力が可能、営業の負担は限りなく少ない」
  • 「新規、既存、旧既存等顧客ステータス毎の課題を可視化」
  • 「営業フェーズ事の課題が可視化」
  • 「住所と紐づける事で最適な営業活動先を抽出」


僕の所属した会社でも、最も高い「営業支援ツール」は1年で数千万円のコストをかけて導入されたのですが・・・・結局使い物にならず3年程で消えていきました。無駄になったコストは「お金」だけではありません。



まったく目論み通りにいかない事に関して担当役員は「営業部の管理職が未熟でマネジメントがなってない!」との考えの元、営業部門に対して兎に角ツールを使う事を厳命を依頼。営業部の役員も一応導入に賛成した手前「やめたら?」とは言えず・・・。



この辺りはまさに「日本的サラリーマン社会」といった感じです。



結果、各部門は予算達成に向けては売上を競うのではなくツールの「入力数」「入力率」も競う事に。深夜、顧客を追いかけるのではなく、兎に角「体裁を整えるための入力作業」に徹夜の日日です。営業支援ツールの数字を「月末最終着地数字」に合わせる(月中で達成見込みが3%とか300%とか極端な数字が出ると問題になるので・・・)ために入力させるなど結構気を使う事態に至っては、もう、悪いジョークを通り越して本当に面白かったです。


「エクセルで管理している時の方が正確で楽でしたよね」


その時間と、削られていく営業のマインド。これは導入コスト以上の損失だったと思います。
しかし、その「営業支援ツール」が不良品だったわけではないと思います。実際に成功している企業もあったのだと思います。何故うまく機能しなかったか?結局「使わなかった(使えなかった・正しく使わなかった)」というのが答えなんですね。

社会保険労務士の仕事の幅はむしろIT化で増える?

これは、「営業支援ツール」に限らず、どんなツールでも同じ事が言えます。どんなに「便利なツール」も結局人間が使います。使うためには使い方を覚えなければなりません。忙しい中小企業にとっては「自社で内製」するよりも今迄通りFAX、あるいはせめてPDF添付メールで情報を送れば「電子申請」に対応した社会保険労務士事務所が対応をしてくれた方が結果的にコスト的にも見合う。そのように考える事業者も大勢います。


むしろ、IT化やクラウド化については社会保険労務士の「新しい商談機会」になります。

社会保険労務士事務所が介在する事で便利になった最新のアウトソーシングサービスをFAX1本、メール1本で対応してもらえるのですから。勿論、当の社会保険労務士はそういった最新の情勢に精通している必要があります。

知らないモノは(ほぼ)探せない

最近は検索エンジンも優秀になってきており、「サジェスト(関連キーワード)」・「虫眼鏡(Yahoo!の予測検索)」といった便利な機能があり昔よりも調べものが捗ります。しかし、基本的に「検索する」という行為は何かを知りたいという「動機」が必要です。基本的には「動機ある者」でなければ検索はしません。



信頼出来る(顧問先の発展に貢献したいと考えている)社会保険労務士なら事業者が気がついていない(見過ごしている)社会保険料の過払い、助成金等の情報をタイムリーに提案をしてきます。また、社会保険労務士に給与計算をアウトソーシングする事で正確な給与計算は勿論、払わなくてもよい社会保険料を余分に払ってしまっているといった事態に気が付くことができます。




勿論、経営者や社内の人事担当者が高い知識とスキルを持っていれば必要ないのは理解できます。しかし、忙しい経営者がそこまでやるのはそもそもコストが合いません。また、人事担当者が幸いにそうった業務に精通していてももし、退職や病気で仕事が出来なくなってしまったら・・・?結局、企業にとって「根幹」である部分以外はアウトソーシング出来るものはアウトソーシングした方がコストパフォーマンスが高い。

社会保険労務士の将来性。独立開業はネット社会のおかげで明るい?

ネット社会が黎明期から勃興期に入る2006年頃「WEB進化論」という本が出版されました。非常に簡単に言うと、


「全ての人が情報の受信者でもあり発信者でもある社会は
集合知が発揮されて素晴らしい社会に」


と、いったようなお話しです。
これも、「全て誤り」とは言いませんが・・・現状どうでしょうか??決してそういう状況ではないですね。



若干、個人的な考えも入りますがネットの情報は何事もある程度の「専門家」がより専門的な知識を深めていくことに優れている反面、門外漢が一から調べていくには必ずしも優れている部分だけではないと感じます。広大な「ネットの海」から「正しい情報」「必要な情報」を得るにはある程度の「前提となる知見」が必要だと思います。



勿論、一から時間をかけてネットから学んでいけば「素人」から「専門家」になる事も出来ると思いますが、果たしてその「努力」は必要・・・いや、コストに見合うのでしょうか?

社会保険労務士の将来性や独立開業の可能性まとめ

社会保険労務士の将来性について色々と考察してきましたが、当然「資格があればご飯が食べられる」ようなものではありません。ただ、毎年のようにある法改正や雇用形態の多様化、社会保険制度の複雑化、そして、IT化やクラウド化で間違いなく便利になっている手続き業務や労務管理に関しても、新しい事に挑戦して学び続けることが出来る方にとってはチャンスではないかと思います。


※全国社会保険労務士連合会が以下のような調査結果もまとめていますね。

  • 1:回答企業6,921社のうち、96.7%が社労士を認知しており、56.4%が現在社労士を利用していると回答した。
  • 2: 現在顧問社労士がいる企業3,731社のうち、74.7%が人事・労務面に関する「相談業務」についても依頼していると回答した。
  • 3: 回答企業6,921社が認識している「人事・労務管理面における課題」は、求人・採用後の育成(55.8%)、雇用の多様化への対応(55.5%)、賃金・年金制度(55.2%)の順であった。また、これらへの対応について、全ての項目において、社労士への満足度が最も高いことが明らかになった。

土台となる知識に新たな知見を積上げる

社会保険労務士の国家試験はその性格上「改正」が多く受験生を苦しめると言われています。


「今年受からなかったら今まで勉強した事が(法改正があるから)無駄になる」


だから、一度不合格になっても新しい講座に申し込まないと合格出来ない。この考え方も一見もっともらしいのですが合格した方や、模試や択一で40点以上をにお話しを聞くと一様に「基礎(土台)」は大きく変わらないので、その土台を理解していれば法改正も(勿論楽ではないですが)理解しやすいと言います。
僕自身も3回程受験をしているのですが、教科書は最初のスクールで使ったものを3年使いました。勿論、法改正があった場合にはテキストに書き込んでいきました。



広大なネットの海の中で「欲しい情報」「正しい情報」を得るには「基礎的な知見」があればより優位です。社会保険労務士は国家試験を通るために「基礎と土台」を学んでいます。勿論、「基礎と土台」だけでは仕事にはならないかもしれませんが、そこに、新しい知見(そして経験)を積上げてい事で揺るぎない知識となると思います。
ネット社会の到来は「専門家」になりたい人にとってはより伸びていきやすい社会ではないでしょうか。